ホイール・ロック・ガンとは、歯輪によって点火を行う銃砲の事である。 歯輪を薇仕掛けのカラクリで回転させ、火打石との摩擦によって火花が生じる機構を備えている。 火打石にはパイライト、つまり黄鉄鉱が使われた。 銃床もこの機構に合わせて作られ、歯車部分が丸みを帯びている。 また、貴族向けに作られたものが多く、真鍮や真珠貝、鹿角を使った銃床、 金めっきを施したの青銅の装飾金具等の特徴を備えたものもある。
ホイールロック式とマッチロック式とでは、火薬に着火した後の弾丸発射の仕組みは同じである。 違いは着火に至るまでの発射機構であり、前者は歯車によって生じた火花を、後者は予め点火させた火縄を用いる。 ホイールロック式の発射手順の特徴は、ぜんまいであり、螺旋巻きで予め巻いておく事だ。 引金を引くと、火蓋が前方向にスライドし、火打石を挟んだ打金が火皿の中に倒れる。 そして歯輪が回転し、摩擦によって生じた火花が火皿の中に落ち、点火薬を発火させるのだ。
ホイールロック式とマッチロック式いずれも先込め式であり、発射までに手間を要する事に代わりはなかった。 それでもホイールロックという画期的な発明は、火縄を取り扱う煩わしさから開放してくれるのだ。 しかしホイールロック式には二つの欠点があった。一つは発火不良。 うまく火花が生じ、しかも火皿に落ちてくれるとは限らない。 もう一つは複雑な機構にコストがかかり過ぎた事。 下級の兵士にまで支給する事は出来ず、軍用としてはあまり作られなかった。
項目 | 内容 |
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名称 | ホイール・ロック・ガン |
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分類 | 火器/銃砲 |
全長 | 60〜130cm |
重量 | 1.7〜8kg |
射程距離 | 10〜200m |
時代 | 16〜17世紀 |
地域 | 欧州 |
文化圏 | 欧州 |
更新日:2009/05/30