鍵槍とは、蕪巻の部分に 横手と呼ばれる鉤を取り付けた素槍の一種である。 鉤の材質は鉄製であった。 鉤には様々な形状が存在し、十文字鍵、両鍵、卍鍵、片側鍵等がある。 また、刃先や鋸刃を取り付けたものも存在する。 図版画像は片側鍵であり、最も多く使われた。
鍵槍の用法は、通常の素槍の機能に加え、鉤を活用する事にある。 鉤を使って敵の攻撃を受け止めたり、そのまま敵の武器を巻き落とした。 また、首や衣類に引っ掛けて引き倒したり、その他に鉤を使って城壁を上る事もあった。 しかし、複雑な用法を持つ為、誰にでも使いこなせるわけではなく、 熟練者でなければ効果は発揮されない。
鍵槍の起源は鎌槍の引っ掛け機能を強化する事に始まり、戦国時代の頃に登場した。 その為か、機能は鎌槍のそれとあまり変わらない。 鎌槍より有利な点は、鉤が手元に近い為、梃子の原理状、力を入れ易い事だ。 また、鍵槍の鉤は取り外し可能であり、通常の素槍としても使用可能である。 つまり、鉤さえ用意すれば古い素槍もそのまま使えるし、鉤さえ作れば従来の素槍の生産ラインをそのまま活用出来るのだ。 また穂先の手入れも、鎌槍よりずっと楽である。 関ヶ原や、それ以降の大阪冬夏の陣では8〜9割が鍵槍になったと言われているが、 こうした利便性による面も大きいからではなかろうか。
項目 | 内容 |
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名称 | 鍵槍 |
鍵槍、鑰槍(かぎやり、kagiyari) | |
分類 | 長柄/鉾槍 |
全長 | 2〜4m |
重量 | 2〜3.5kg |
時代 | 16〜19世紀 |
地域 | 日本 |
文化圏 | 戦国時代、江戸時代、武芸、流派 |
更新日:2009/08/24