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サリッサ sarissa

sarissa

サリッサとは、柄と柄を金属のパイプで繋ぎ合わせる事によって非常に長い全長を持った槍である。 穂先もまた長く作られており50cmを超えるものも存在する。 柄の材質はミズキの木である。 石突も、まるで両端に穂先があるかのように鋭く尖らせてあり、穂先の破損等といった緊急時にも対応可能だ。

サリッサはマケドニア式ファランクスと呼ばれる密集方陣隊形で使用する槍として用いられた。 そもそもギリシアにおける ファランクス の歴史は古く、ギリシア暗黒時代を終えた紀元前8世紀にまで遡る。 この頃からホプリテスと呼ばれる重装歩兵が軍の主力となり、 彼らはファランクスを組んだ。 この時に使用された槍は ドリュと呼ばれ、長さは2〜3mであった。 柄の材質はトネリコの木である。 因みにドリュは特定の槍を指すわけではなく、ギリシア語で単に槍をそう呼ぶ。

サリッサを有効活用したのは、 フィリッポス2世及び アレクサンドロス3世である。 二人ともギリシア辺境の地マケドニア出身で、その統治下では重装歩兵もマケドニア風に ペゼタイロイ と呼ばれた。 マケドニア式ファランクスとは、彼らが縦横16列ずつ合計256人でほぼ正方形の陣形を組む。 そして先頭から5列目までの兵士がサリッサを構える。 サリッサは極めて長いから、最前列でなくとも穂先が陣形の前面に突き出た状態となる。 この状態で突進を行えば5x16=80により極めて強力な槍衾となる。 敵の反撃によって前列の兵士が倒れたとしても、後方に控えている兵士が前列に進み、次なる攻撃を行うのである。 アレクサンドロス大王はこうした戦術を有効に用い、大遠征によって帝国を築いた。

大王の死後、その後継者たらんとする達は帝国を分割継承する事は出来たが、サリッサによる戦術を継承する器はなかった。 後継者戦争では、7mを超える更に長いサリッサが登場した。 しかしサリッサの様な長い槍は、遠くを攻撃出来るといった利点を得ると引き換えに機動力を失うという不利益を被るのだ。 このサリッサは欠点を強調したばかりか、長槍そのものをこの時代から消してしまった。

サリッサ:諸元
項目 内容
名称 サリッサ
  • 希:ΣΑΡΙΣΣΑ(サリッサ)
  • 希:ΣΑΡΙΣΑ
  • 希:sarissa
分類 長柄/槍
全長 4〜6m
重量 4〜7kg
時代 紀元前4〜紀元前2世紀
地域 ギリシア
文化圏 古代ギリシア、マケドニア

更新日:2009/02/13

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