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ファルカタ falcata

falcata

ファルカタとは、長く湾曲した剣である。 根元から三分の二位までは片刃で、刃先の部分は両刃で鋭く尖っている。 握りの部分は動物の形をしている事が多く、手を包み込むように湾曲している。 後の世には、握りの部分に鎖や革紐が取り付けられる事もあった。 豪華な象嵌が施されている場合もあり、それは指揮官クラスや貴族達が用いたと思われる。

ファルカタはスペインで生まれた。その為、 古代ローマ人はファルカタをスペインの剣と呼んだ。 ファルカタは斬ったり突いたりする事に優れ、しかもイベリア半島の 優秀な刀鍛治によって非常に強力な武器であった。

最初はスペイン傭兵や原住民がファルカタを使っていたが、 カルタゴの武将ハンニバルが注目し自らの軍隊に取り入れた。 そしてカンネの会戦を勝利に導く要因ともなる。 その後、スキピオ・アフリカヌスがローマ軍を率いてスペインに渡った時、 この剣の質の高さに気付いたのである。 紀元前205年以前のローマでは、細身の長い片刃剣を使い、 突くよりも斬りつけるといった方法を用いていた。 スキピオ・アフリカヌスは改革を行い、スペイン原住民の使用しているこの剣を導入した。 以後、スペイン剣はローマ重装歩兵の公式剣となった。 元々、ローマにはエトルリア人が使用していたマクハエラという武器がある。 マクハエラはファルカタとほぼ同じ武器だが、スキピオはスペインの高純度の鉄の製造方法を取り入れつつ採用したのだ。

その後、スキピオはハンニバルと雌雄を決するため、 ファルカタを携えたローマ軍を率いて北アフリカの地へと向かう。 ここで第二次ポエニ戦役に終止符を打ったザマの会戦が 繰り広げられる事となる。

ファルカタ:諸元
項目 内容
名称 ファルカタ
  • 羅:falcata(ファルカタ)
  • 羅:gladius hispanicus(グラディウス・ヒスパニクス:スペインの剣)
  • 羅:machaera(マクハエラ:曲刀、片刃の剣)
  • 希:μαχαιρα(マカイラ)
  • 希:αορι μεγαλον(アオリ・メガロン:大型のアオリ)
分類 刀剣/剣・刀
全長 35〜80cm
重量 500〜1500g
時代 紀元前6世紀〜紀元後2世紀
地域 スペイン、イタリア、北アフリカ(地中海全域)
文化圏 カルタゴ、古代ローマ、イベリア半島

更新日:2005/02/06

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