手突矢は、単なる弓矢の矢であり、接近戦においてその矢を手に持って攻撃する事から始まった。 手で敵を突いて攻撃する他、投槍の用法で投擲する事も可能であろう。 穂先等は槍と似ている為、別名手突槍とも呼ばれ、更には通常の矢としても利用可能だったそうである。 しかし伝世品はなく、羽の有無の記述も無い。 その為、羽の有無に関する諸説は多いのだが、私としてはその両方だったと見解している。 というのは、私が考えるこの武器の起源というのは、 弓射兵が間近に迫った歩兵に対して、矢を番える暇なく咄嗟に矢で敵を 突いた、といった偶発的なものである。ならば原初は羽がついていた筈である。 時代を経て手突矢という名称が与えられたならば、手で突く専用の矢として 不必要な羽を取り除いた事もあったのではないか。 その為ここでは、矢の名残を見せる羽付きを手突矢として敢えて投擲に分類している。
太平記において因幡堅者全村は三十六隻の手突矢と 長刀 とを装備する弓射歩兵であり、手突矢で突く攻撃は 敵の背中まで貫く程に強力だったとの事だ。
項目 | 内容 |
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名称 | 手突矢 |
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分類 | 投擲/手裏剣 |
全長 | 60〜90cm |
重量 | 50〜70g |
射程距離 | 5〜20m |
時代 | 14〜19世紀 |
地域 | 日本 |
文化圏 | 日本、江戸時代 |
更新日:2005/04/09